創展 特別企画展 キッズゲルニカとは

   2022年6月にウクライナの子どもたちが制作したキッズゲルニカを展示したことがきっかけとなり、市内の芸術家の皆さんと子どもたち(幼稚園児から高校生までの約30人)が、6か月に及ぶ全22回の制作活動を経て2023年1月にキッズゲルニカを完成させました。

キャンバスの大きさは、縦3.5m×横7.8m。子どもたちは何を描くか話し合ううちに、平和の対局にあるものが戦争ではなく、気候変動やごみ問題など、平和を脅かす様々な要素があることに気付きました。

中央に地球を配置し、その右側には地球を壊す悪魔やウイルスやプラスチックごみを食べたクジラなどを、左側には絆創膏で地球を直す天使や子どもたちが思う様々な平和の光景(厚木の鮎、野菜、お花など)を描きました。背景色を寒色から暖色のグラデーションにしたのも子どもたちのアイディアです。

【制作の過程】

2022年6月、ウクライナの子どもたちが制作したキッズゲルニカを展示しました。その展示がきっかけとなり、市内の幼稚園児から高校生までの約30人の子どもたちと、9人の芸術家が集い、8月から「あつぎキッズゲルニカ」の制作が始まりました。

8月から9月にかけて、「平和」についてそれぞれの思い描くイメージを考え、共有しました。その中で、「平和」の対義語が「戦争」ではないということに気付きました。気候変動や地球温暖化、食糧問題、海洋汚染など様々な問題が地球を取り巻き、平和を脅かす原因になっていることが分かり、各グループでアイディアを出し合いました。

10月からは絵の制作に着手。実際のキャンバスの1/9サイズの紙に、何を描くか、色は何色が良いかを話し合いながらスケッチを進めました。描いた下絵を実際のキャンバスに映し出して、ゲルニカ大のキャンバスに描くイメージを膨らませました。

11月からは場所を厚木市役所本庁舎地下食堂に場所を移し、実際のキャンバスに木炭で下絵を描き、色塗りが始まりました。その中で、描き足したほうが良いと思うアイディアを子どもたちが次々と追加していき、下絵よりも多くのものが描かれた1枚が完成しました。

【作品説明】
「キッズゲルニカ」には子どもたちのアイディアが詰まっています。あつぎキッズゲルニカ実行委員会からは配色などのアドバイスに留まっており、子どもたちの意思が尊重された作品になっています。
作品の中央には大きな地球が描かれています。地球の形が丸くなく角ばっていることも子どもたちのアイディアです。
地球の左側は暖色で構成されており、地球にとってプラスの要素が描かれています。天使の善い行動によって、絆創膏が生まれ、地球を直すことにつながっています。また、綺麗に咲いている花や、野菜などの作物も多く描かれており、「厚木の野菜などの魅力も伝えたい」という子どもたちの思いが込められています。
反対に右側は寒色で構成され、地球にとってマイナスの要素が描かれています。悪魔によって地球が壊され、海洋汚染によってクジラがダメージを受けている様子やミサイルなどが描かれています。また、プラスチックごみや森林伐採、排気ガスも発生しているほか、環境問題以外にも、ウイルスが描かれており、子どもたちの考える地球にとっての悪いことが詰まっています。
背景色を暖色から寒色のグラデーションにしたのも子どもたちのアイディアです。